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旭川の「ひとつを愛する人」を訪ねて

第一回 椅子研究家 織田 憲嗣さん

愛用品:ロレックス オイスター・デイ・デイト

 

ロレックス

 

ロレックス

 

この腕時計を買ったのは大学3年のイギリス旅行だから、46~7年前になります。
仕送りが7千円、寮費が2食付きで3千円だった頃、7万円くらいしました。
コヴェントリーというまちの時計屋さんで見つけ、
男性用ではゆるく女性用では細すぎたためボーイズサイズに。
今はもう製造していないもので、防水と日付機能がついています。

 

デザイン系の私大で、友人がみんなおしゃれでしかもお金持ちだった(笑)、
その影響でしょうね。

 

ロレックスはほかにも何人か持っていたし、
当時憧れだった小林靴店の誂えの靴を履いている学生もいました。
そんな中で、本当に気に入ったものを持ちたいという価値観が育っていったのだと思います。

 

腕時計は好きで20個以上持っています。
文字盤という小さな面積に、デザインの無限の可能性がある。
時間というものは、大人にも子どもにも
世界中どこに行っても等しく24時間与えられている。
その、目に見えないものを視覚化するのが時計です。

 

古くから日時計、火時計、水時計、砂時計と、
人にとって時間を知ることは生命活動や経済活動まで密接につながっていました。
特に日本人は、精神性を視覚化してきましたね。
たとえば「熨斗」なんかがそうです。
「床の間」や「垣根」なんかも結界の意味があります。
デザインすることは、かなりそうした役割が大きいですね。

 

デザインの立場からいうと、時計はアイデアが尽きない世界。
針がなくて白い文字盤に黒点が1つだけ、というものもあります。
時間はだいたいしかわかりませんが(笑)。
昔は大らかで、時間は大雑把で事足りていたんですね。
今は秒単位で左右されてしまうけれど。

 

 

ところで、このコーナーのテーマ「ひとつを愛する人たち」に、
僕は当てはまりませんね。
愛するものがたくさんありすぎる(笑)。
いらないものは、ひとつも持っていません。
断捨離なんていうものが流行っているけれど、僕は反対です。
断捨離するようなものを最初から買わないことです。
買うからには、若い人も本当に気に入ったものを、少々無理をしてでも選んでほしい。
僕の家には40年ものがいくつもありますよ。
バーバーリーもそうだし、カシミヤとミンクのマフラー、モンブラン。
この連載が何回あっても間に合わないですね(笑)。

 

 

 

織田 憲嗣
東海大学芸術工学部特任教授

1946年高知県生まれ。大阪芸術大学卒業。
百貨店の宣伝部を経て、フリーのイラストレーターとなる。
大阪芸術大学、神戸学院女子短期大学、嵯峨美術短期大学、
NHK文化センター、大阪ガスインテリアデザインスクールの非常勤講師を経て
現在、東海大学芸術工学部特任教授。

著書に「日本の家」(福音館書店)、「ハンス・ウェグナーの椅子100」(平凡社)、
「デンマークの椅子」「200脚の椅子」(ともにワールドフォトプレス)、
「名作椅子大全」(新潮社)がある。

http://odacolle.org